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日刊ゲンダイ 12/4(水) 9:26配信
【内視鏡医が見た12月の胃袋】#1
私は消化器内科医として日々、上部消化管内視鏡検査などを行っています。上部消化管とは食道、胃、十二指腸のことをいい、上部消化管内視鏡検査とは別名「胃カメラ」と呼ばれています。
口から入れて潰瘍、ポリープ、がん、炎症などがないかを調べるのですが、「12月の胃袋」は他の季節に比べて荒れているなあ、と感じます。
実際、胃の粘膜表面にびらんができていたり、出血していたり、胃の内容物が食道に逆流し、胃酸によって食道の粘膜が炎症を起こしている人が非常に多いのです。
注意したいのが忘年会の鍋料理です。
鍋は胃に優しいイメージがありますが、シイタケ、キノコ、アサリ、ハマグリ、タコ、イカなど食材によっては胃の中で消化されるのに時間がかかります。しかも、大勢が競うようにして食べるため、過食になりがちで、それに大量のお酒が加わる。それを2~3時間で済ませるのですから、胃を疲れさせかねません。
ご存じのように、胃もたれとは食べ過ぎや飲み過ぎによって胃の働きが弱まって、胃が重く感じる症状のことです。それは食べた物が長時間、胃の中に残っている場合に発生します。
胃内滞留時間は食材によりある程度決まっていて、果物の胃内滞留時間は20~30分、野菜は1~2時間、ごはんやパンなどの炭水化物は2~4時間、魚などのタンパク質は4~6時間、脂質は7~8時間といわれ、脂っぽい食材は胃内滞留時間が長いとされています。
皆さんの中には胃もたれして何がいけないのか? と思う人もいるかもしれません。
問題は胸やけもすることです。胸やけは飲食後に感じる胸の灼熱感や痛みのことですが、その原因は胃の内容物が食道に逆流して、胃酸によって食道の粘膜に炎症を起こさせるからです。
食道から胃に食べ物が入ると、ある消化管ホルモンが分泌され、胃の入り口である噴門を閉じて食べ物が食道へ逆流するのを防ぎます。そして、食べ物が胃を出て十二指腸に達すると今度は別の消化管ホルモンにより噴門が開くのです。
ところが、消化の悪い食べ物や過食により胃の中での消化に手間取ると、胃の中に食べ物が渋滞します。それでも、食べ物の一部が十二指腸に達すると、噴門が開いてしまい、胃酸が逆流して食道の粘膜に炎症を起こし、胸やけが生じるのです。ちなみに、げっぷは噴門が開いたときに胃の中の空気が逆流したものをいいます。げっぷが出る人は食道がただれている可能性があるということです。
もちろん、胃の中での滞留時間は食材だけで決まるわけではありません。食べ物の量が増えれば増えるほど長くなりますし、調理の仕方によっても異なります。
鍋は、十分煮て、食材によっては控えめに食べた方がいいでしょう。
(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)
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