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ブックバン 3/7(水) 7:00配信
ルールはたったひとつ。「書かれている言葉は、ぜんぶ声に出して読むこと」。それだけで「子どもが絶対に笑う本」があると言われたら? ――その名も『えがない えほん』(早川書房)。実際の読み聞かせで子どもたちが爆笑する動画がSNS上で大量にシェアされ、発売からわずか3カ月足らずで16刷18万部と快進撃を続けている。
原著は全米で70万部超を売り上げた大ベストセラー。俳優・コメディアンとしても有名な著者B・J・ノヴァク自身による読み聞かせ動画はすでに350万回以上再生されていた。「その時の子どもたちの笑顔が素晴らしくて。ぜひ日本でもと思い、すぐに企画を立てました」
と担当者は語る。
だが、ここで問題が立ちはだかる。すなわち、誰が訳し、どう読み聞かせればいいのか――アメリカの子どもたちが面白いと思う言葉が、日本の子どもたちにも通じるとは限らない。そもそも内容はナンセンスな擬音の連続、はっきり言って大人が読んでもピンと来ない代物だ。ただでさえ一般書の翻訳とは勝手が異なる。当初はお笑い芸人も候補に挙がったが、計画は難航。途方に暮れはじめたとき、読み聞かせのプロから今回の訳者を務めた大友剛の本を紹介してもらった。
「大友さんが訳している『ねこのピート』シリーズは、子どもと一緒に歌をうたったり、かけあいをしたりする“参加型絵本”なんです。まさに本書の性格にぴったりだな、と」
適任だった理由はもう一つある。「大友さんは読み聞かせ・マジック・演奏の公演を各地で行っています。おかげで刊行前にテスト版を子どもたちに何度も読み聞かせて反応を確かめることができました。訳語の修正に加え、書体や色に工夫をすることで、視覚的なインパクトを与えられるよう細かい調整をくり返しました」。結果、どこで読んでも子どもたちがノリノリで反応する読み聞かせ本が出来上がった。
一方的に笑わせようとするのではなく、あくまでコミュニケーションから生まれるものを重んじる。読み聞かせ本に限らず、全ジャンルに通ずる成功談だ。
[レビュアー]倉本さおり(書評家、ライター)
新潮社 週刊新潮 2018年3月1日号 掲載
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