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スパイスは世界のさまざまな料理に使われ、その市場は長期的に拡大している。特に欧州や北米、日本などの先進国を中心に、おいしく健康的な食生活への関心が高まっている。伝統的な天然素材としてのスパイスへの関心も高まり、その需要や市場は今後も世界的な規模で拡大していく公算が大きい。
業界全体に共通する課題になっているのが原料の調達だ。産地は主に熱帯・亜熱帯地域だが、原料の種類が多く、種類ごとに産地が異なること、安全性を含む品質への要求が強まっていることがポイント。世界的な視点で持続可能性に配慮しながら、いかに原料調達の機能強化、バリューチェーン全体の機能強化を図るかが問われている。
日本(国内)に目を転じると、その市場も拡大基調にある。経済産業省工業統計表による香辛料の出荷額は2018年実績で約1400億円。5年間(13年比)で32・8%の大幅増を記録した。市場拡大を支えているのが輸入原料だ。財務省貿易統計による香辛料の輸入実績は19年実績で約10万7000t。5年間(14年比)で8・3%の増加となった。
海外市場と同様、国内市場も春先以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた。外食関連を中心とした業務用・加工用需要が縮小を強いられている。香辛料の輸入も春先以降、縮小に転じ、1-9月の実績は数量ベースで前年同期比6・2%減の水準にとどまった。
その一方、家庭内食、家庭内での調理機会の増加に伴い家庭用需要が大きく拡大し、家庭用市場は4-9月の20年度上期実績でも前年同期比で20%に迫る大幅増を記録した。びん入りや袋入りの粉体タイプ、チューブ入りの粘体タイプなど、ほぼすべてのサブカテゴリーで前年実績を上回った。
その中でも、コロナの影響が長期化し、家庭内での調理機会が増加した結果、洋風スパイス、大容量のねりスパイスを中心に調理需要の拡大が目立ったことがポイントの一つだ。洋風スパイスの主要品種に関しては、需要が拡大した結果、原料がひっ迫する局面もあった。
原料の産地もコロナの影響を受けたことは言うまでもない。社会経済活動を制限される状況も見られた。国内市場を見ると、業務用・加工用需要の縮小という川下の販売サイドの影響に比べ、川上の調達サイドの影響はそれほど大きくないように映る。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は原料調達機能の重要性を再認識させられるきっかけになったといえそうだ。
国内のメーカーも、担当者が産地を訪問して安全性や品質を確認し、生産者や加工業者などとの信頼関係を強化する活動に力を注いでいる。コロナの影響で人が移動しにくい状況にある。しかし、産地との関係強化の重要性は変わらない。アフターコロナ下では、その重要性がより高まっていく可能性が高い。
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