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東洋経済オンライン 9/3(月) 15:00配信
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。
蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「発酵食品」。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。
この連載の一覧はこちら
01. 「発酵」とは微生物の代謝によって物質が分解されたり変化したりすること
02. 学術的には「微生物が有機物を嫌気的に分解してエネルギーを得る反応」と定義される
03. 一般に「発酵」といわれる現象は多様で、生育に酸素を必要とする微生物が利用されるものも多く含まれる
04. 微生物は、微小で肉眼では見えない生物
05. 発酵を行う微生物を総称して発酵菌という。発酵菌は大きく分けて、菌、酵母、カビ類の3つ
06. 発酵で活躍する菌の代表は、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌
07. 酵母(イースト)は食物に含まれる糖類を餌として、アルコールと二酸化炭素に分解するもの
08. ビール酵母やワイン酵母、パン酵母など、さまざまな酒の醸造や食品の製造の工程に関わっている
09. 麹は加熱した穀物に繁殖するカビの一種。厳しい環境でも発酵する力を保つ強い菌といわれる
■麹菌の恩恵に預かった発酵食品が多い日本食
10. 日本食の原点ともいえる味噌、醤油、かつお節、酒などはすべて麹菌の恩恵に預かった発酵食品
11. 微生物は食物を分解する際、特有の匂い成分やアミノ酸等の旨味成分を醸し出す。これが発酵食品それぞれの複雑な匂いや味の深みを生み出している
12. 発酵食品では発酵菌が増殖して他の菌が生きにくい環境が保たれる=腐敗菌の繁殖が妨げられ、長く保存できる
13. 発酵食品ができるとき、微生物の働きで栄養素が増えて蓄えられ、発酵前と比べて栄養価が大きくアップする
14. 「発酵」と「腐敗」はどちらも微生物の働きによる変化でメカニズムは同じ。人間に有益なものが「発酵」、有害なものが「腐敗」と判断される
15. 一般に発酵と呼ばれている工程でも、実際には微生物が関与しないものもある。例えば紅茶の“発酵”は茶葉自身の酸化酵素の働きによるもので厳密には酸化である
16. 人類は有史以前より長きにわたり、その仕組みを知らないまま発酵を利用してきた
17. 確認されている最も古い発酵食品は約8000年前のコーカサス地方のワイン
18. 紀元前3500年頃には中近東の遊牧民が山羊の胃袋で作った水筒で運んでいた乳が酸味のある白い塊に変化。この偶然の産物がヨーグルトやチーズの起源と伝えられる
19. 紀元前4000年~3000年頃には古代エジプトで発酵を利用したパンが作られていたとみられる
20. 古代ローマの料理書『アピキウス』には、調味料として「魚醤」が紹介されている
21. 古代ギリシアではチーズ製造の際にできるホエー(乳清)を健康や美容目的で利用していた
22. 日本でも古代から山ぶどうや木いちごなどの果実を発酵させて作った酒が飲まれていた
23. また、日本でも最も古くから利用された発酵食品と考えられているのは魚醤
24. 6世紀には中国から大豆塩蔵食品、醤(ひしお)が伝来
25. この「醤」ができるまでの熟成途中のものが美味しかったため「みしょう(=未だ醤にならざるもの)」として食されるようになる。これが味噌の起源
26. 最古の漬物の記録が奈良時代の長屋王の邸宅から発見された木簡にみられることから、8世紀には酒粕や醤を利用した漬物が食べられていたことがわかっている
27. 平安時代、味噌は貴族階級に珍重された贅沢品。当時味噌汁はなく、食べ物に付けたり、薬として利用された
28. 醤油は鎌倉時代に伝わったという金山寺みその桶に溜まった液体を調味料として使ったのがはじまりとされる
29. 日本ではすでに平安時代末期~室町時代には麹を培養して販売する「種麹屋」が成立していた
■微生物と発酵の関係を証明したパスツール
30. 発酵が微生物によって行なわれていることが明らかになったのは19世紀になってから
31. 微生物の存在を最初に発見したのはオランダのレーウェンフック。1674年
32. 微生物が発酵に関係していることを証明したのがフランスの細菌学者パスツール
33. 日本では発酵食品にコウジカビの「黄麹菌」を用いる
34. 東アジアや東南アジアで発酵食品の製造に使われるのはクモノスカビ
35. 2006年、日本醸造学会は日本の「国菌」として麹菌を認定した
36. 日本のGDPの約1%に麹菌が関与している
37. 麹菌の学名はアスペルギルス・オリゼー
38. アスペルギルスとはローマカトリック教で用いられる洗礼用具。形が似ていることから命名されている
39. アスペルギルス・オリゼーは日本にしか存在しない
40. 麹菌はでんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼ、たんぱく質をアミノ酸に分解するプロテアーゼ、脂肪を脂肪酸に分解するリパーゼの3大消化酵素を豊富に生み出す
41. 酵素は高温で活性を失うため、味噌汁を作る際は沸騰させないよう火を止めてから味噌を溶くと効果が保てる
42. 納豆菌は稲藁に生息する菌。加熱した大豆に加え発酵するとたんぱく質を分解、アミノ酸を生成し納豆になる
43. 納豆は発酵の過程で、ビタミンB₂は煮豆の6倍、ビタミンK₂は他の発酵食品の数百倍ものビタミンが生じる
44. 納豆菌が病原性大腸菌O-157の増殖を止める効果があることが倉敷芸術科学大学の研究で報告された
45. 納豆菌は最強レベルの菌といわれ、納豆を食べ過ぎると腸内にいる潜在菌まで淘汰してしまうことがある
46. 阪神間が納豆空白地帯なのは、酒の酵母が食われてしまうからという説まである
47. 実際に酒蔵に勤める職人は酒の仕込み期間は納豆を食べるのは禁忌とされている
48. 醤油工場や製薬メーカーの研究所などでも朝食に納豆を摂るのは控えるのが常識となっている
49. 乳酸菌の種類は約350種類。ヨーグルトは発酵に使う乳酸菌の組み合わせによって、味や舌触りなどが変わる
■腸内環境を整える効果
50. 乳酸菌は腸内の悪玉菌の繁殖を抑えて善玉菌の働きを高め、腸内環境を整える効果がある
51. 免疫細胞の多くが腸に集まっているので、腸内環境を良くすると免疫力がアップする
52. 腸内の菌の種類が多いほど菌の活動性が増す。そのため多くの種類の発酵食品を少しずつ食べるのが効果的
53. 世界中に存在する発酵食品は100種類を超える
54. 微生物は地球上のあらゆる場所に存在するが、日本を含めた東~東南アジア地域は発酵菌の生育に適した気候風土で発酵食品の宝庫といわれる
55. ヨーロッパの地域では肉や乳製品など動物性たんぱく質を発酵させて作る食品が多いのが特長
56. 生ハムはブタのモモ肉を生のまま塩漬けし、乾燥させて長期間吊るし熟成させる。乳酸菌によって発酵が進むので生の肉でも腐らず保存が可能となる
57. サラミはひき肉に塩コショウを混ぜブタの腸に詰めて乳酸菌などで発酵するイタリア生まれの食品
58. アンチョビはカタクチイワシを塩漬けし発酵させオリーブオイルに漬け込んだ発酵食品
59. 世界で一番臭い食品として有名なシュールストレミングはスウェーデン生まれの発酵食品。ニシンを塩漬けにし、10~12週間発酵させて作る
60. シュールストレミングは納豆の18倍の臭さと測定され、一部の国では危険物として取り扱われる
61. 世界で2番目に臭い食品にあげられるホンオフェはガンギエイの切り身を発酵させたもの。韓国の高級食材
62. 臭気指数計で、シュールストレミングは8070Au、ホンオフェは6230Auと記録されている
63. キビヤックはイヌイットの伝統的な発酵食品。アザラシの腹に海鳥を詰め、土の中で発酵させたもの
64. くさやはアジなどの開きをくさや汁に漬けて天日で干したもの
65. くさや汁には抗菌作用があり、ケガの治療薬として利用されていた時代もある
66. イカの塩辛など魚の身や内臓を塩漬けにし発酵させた塩辛が、魚介類を使った最初の発酵食品と考えられる
67. チョコレートも広義においては発酵食品のひとつ。カカオマスはカカオ豆の種と果肉をバナナの皮などで包み発酵させ、乾燥、焙煎、磨砕したもの
■納豆を最初に食べたのは?
68. 納豆は、聖徳太子が馬に与えていた煮豆の余りを藁に包んで保存したらできたという言い伝えがある
69. 納豆を初めて食べた人物は、他にも源義家、光厳法王、加藤清正、豊臣秀吉など諸説ある
70. 日本では各地で多様な野菜が作られ、漬物の種類も600種類以上におよぶ
71. ぬか漬けが広まったのは、白米を食べるようになった江戸時代、大量に残った米ぬかを有効利用したことから
72. ぬか漬けは、野菜を生で食べるよりも栄養価が豊富
73. ぬか漬けの糠みそ1g中に、乳酸菌が約8~10億個、その他の細菌や酵母も約1億個以上生息しているという
74. たくあんは沢庵和尚が将軍徳川家光に献上したことからたくあんと名付けられたという説がある
75. 秋田の「しょっつる」、香川の「いかなごしょうゆ」、能登の「いしる」は日本三大魚醤と呼ばれる
76. 熟鮓(なれずし)は魚に米飯を混ぜ重石をし長期間発酵させたもの。縄文期に東南アジアから伝わったとみられる
77. 熟鮓は乳酸発酵により魚の長期保存が可能になったもので、現代の寿司の起源と考えられている
78. 甘酒は米麹に湯を加えて作る日本の伝統的な甘味飲料
79. 甘酒は江戸時代には夏バテ防止用の栄養ドリンクとして飲まれていた。俳句の世界で「甘酒」は夏の季語
80. 甘酒はビタミンB₁、B₂、B₆、葉酸、食物繊維、オリゴ糖、アミノ酸、ブドウ糖からなり、「飲む点滴」と呼ばれる
81. お茶のなかでもプーアール茶は緑茶を麹で長期間熟成させて作る“後発酵茶”
82. 日本でも珍しい後発酵茶として徳島の「阿波番茶」、愛媛の「石鎚黒茶」、高知県の「碁石茶」などがある
83. 碁石茶は江戸時代からの伝統製法、2段階の微生物発酵で生産され、プーアール茶の20倍の植物性乳酸菌が含まれるともいわれる
84. タバスコはすり潰した唐辛子をオーク樽で密閉して発酵させ、約3年間熟成させた後、酢を加えて完成される
85. ドイツのザワークラウトは千切りキャベツを1カ月程発酵させた漬物の一種。酸味は発酵で生じた乳酸による
86. 酢酸菌のなかに発酵の過程で膜をつくるものも存在する。これを利用した食品がナタデココ
87. 関東風のくず餅(久寿餅)は小麦粉デンプンを乳酸菌で発酵させたお菓子で「和菓子で唯一の発酵食品」ともいわれる
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