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ITmedia ビジネスオンライン 7/26(水) 11:44
日本で初めてポテトチップスを量産した会社はどーこだ。答えは「湖池屋」。1962年、日本人の嗜好(しこう)に合う商品として「のり塩」味を、いち早く開発したのだ。
老舗メーカーであるにもかかわらず、最近のポテトチップス市場をみると、苦戦している様子がうかがえる。首位カルビーは7割を超えているのに、2位の湖池屋は2割ほど。大ファンであれば、袋に入っていない状況で目の前に出されても「これはカルビーの味だ」「こっちは湖池屋だな」と言い当てることはできるだろうが、多くの消費者は難しいはず。味の違いはそれほど感じられないのに、カルビーに軍配が上がっていたのだ。
このままではいけない、なんとかしなければいけないということで、湖池屋は新商品を出すことに。国産じゃがいもを100%使用して、プレミア感が漂う「KOIKEYA PRIDE POTATO」(以下、プライドポテト)だ。2017年2月に販売したところ、瞬く間に消費者に受け入れられ、さらにSNSでも話題が広がり、発売から1週間で予定していた1カ月分を販売する。その後も勢いは衰えず、3種類そろえたフレーバーのうち2種類は販売休止に追い込まれた。それでも2カ月を待たずに、売り上げは10億円を突破したのだ。
3種類すべてがそろったのは、5月末のこと。にもかかわらず、販売開始から半年足らずで、売り上げは初年度目標の20億円を超えた。菓子業界では「20億円超えればヒット商品」と言われている中で、なぜプライドポテトは消費者に支持されたのか。その理由について、プライドポテトのブランドマネージャーを務める野田幸宏さんに聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
●プライドポテトは「国産」をアピール
土肥: プライドポテトがよく売れていますよね。2016年11月に開かれた会見の席で「国産じゃがいも100%」を強調されていましたが、「なにをいまさら」と思われた人もいたのではないでしょうか。というのも、1962年にポテトチップスを発売してから、55年間国産のじゃがいもを使ってきたわけですよね。
野田: プライドポテトの企画は「湖池屋のフラッグシップになるような商品をつくるにはどうすればいいのか」といったところからスタートしました。テーマはいくつかあるのですが、そのひとつが「国産」。ご指摘のとおり、ポテトチップスの量産化を始めて55年が経ちますが、その間ずーっと国産じゃがいもを使ってきました。社内でも「国産じゃがいもを使うのは当たり前」という認識があったのかもしれません。しかし、その当たり前は当たり前ではない、「和」を感じられる商品をつくることはできないかということで開発が進みました。
土肥: 1960年代であれば、「Made in Japan」よりも「Made in USA」や「Made in Italy」のほうが特別感がありましたよね。国産の商品よりも、欧米のモノは「質がよくて、高級だ」といった感じで。そのような時代背景があったので、湖池屋でも「国産が強みなる」と考えなかったのかもしれません。その後も国産を特にアピールしてきませんでしたが、このタイミングで「和」を強調したわけですね。
プライドポテトをパッと見て、気になるのはやはり「立っている」こと。スーパーやコンビニなどの棚に並んでいると「存在感があるなあ」という印象を受けるのですが、この形状はどのような経緯で決まったのでしょうか?
野田: デザインや袋の形状で何か新しくできることはないかといった話になり、いろいろなアイデアが出てきました。そうした中で、コーヒー豆が入っている袋に注目しました。「ヘムシール」と呼ばれるモノなのですが、菓子ではあまり使われていない。当社でも使ったことがない。ただ商品棚に置いてみたところ、いい意味で違和感がありました。
スーパーやコンビニなどにはたくさんの商品が並んでいるので、目立たせるためにわざと立たせるケースがあるんです。一番前にくる商品の背後に、背もたれなどをつくったりして。そんな苦労を知っていたので、新商品でヘムシールを採用しました。ただ、決めたものの、その後が大変でして……。
土肥: 何があったのでしょうか?
野田: きちんと折り目をつけて、売り場でキレイに立たせることはものすごく難しいことが分かってきました。試しにつくってみたものの、すぐに倒れたり、斜めになったり。接着の温度をどのくらいにすればいいのか、何秒温めればいいのか、といった作業を繰り返した結果、いまのように立たせることができました。
●人は自立しているモノに気持ちが入る
土肥: なぜ、立たせることにそこまでチカラを入れたのでしょうか? お客に新規性を感じてもらいたいという気持ちは理解できるのですが、なにもそこまでしなくても。
野田: 中身が変わっても普通のデザイン、普通の形状だと、変わったことがなかなか伝わりません。お客さまに分かりやすく伝わるように、デザインや袋の形状で何か新しくできることはないかといった話になり、結果的に立たせることにしました。また、人は自立しているモノに気持ちが入るのではないか。自分のモノとして感じることができるのではないか。そうした仮説をもとに、立たせることに取り組みました。
土肥: なるほど。次に、味の話を聞かせてください。「魅惑の炙り和牛」「松茸香る極みだし塩」「秘伝濃厚のり塩」の3品を発売しましたが、なぜこの味なのでしょうか?
野田: ポテトチップの定番の味といえば「のり塩」「うす塩」「コンソメ」ですよね。社内からは「王道の3品を出そう」といった声がありましたが、考えてみたらこの3品だとこれまでと何も変わらない。「違う味で勝負すべきではないか」といった意見がたくさん出てきましたが、のり塩は55年間、休まずに発売してきたので「のり塩だけは発売しよう」となりました。
では、うす塩やコンソメに変わる味をどうすればいいのか。議論したところ、「うす塩ではなくて、だしを入れてみてはどうか」といった声がありました。日高産の昆布、焼津産のカツオ節を入れて、そこになにかアクセントを感じられる食材を入れることはできないか。そこで、マツタケに注目しました。実際につくってみたところ、社内外での評価が高かったので「だし塩」に決まりました。
土肥: (食べてみて)確かに、だしの風味を感じることができて、フワーッとマツタケの香りが漂います。
野田: 次にコンソメに代わる味を考えたところ、テーマが「和」だったので「和牛はどうか」といった声がありました。どのようなアクセントをつけると、おいしくすることができるのか。火にあぶったような風味だったり、黒コショウなどを入れることによって、キレがでるように改良しました。
土肥: 理想の味に近づけるのに苦労はなかったですか?
野田: 3品とも大変だったのですが、中でもだし塩の開発は苦労しました。「だし」と言っても、カツオ節や昆布などが入っているので、そのバランスをとるのに何度も試作を繰り返しました。昆布の味を強くすると、カツオ節の味が弱くなってしまう。逆に、カツオ節の味を強くすると、昆布の味が弱くなってしまう。さらに、そこにマツタケを入れると、カツオ節と昆布の味が弱くなってしまう。複雑なからみ感を出すのに、とても苦労しました。
●ブームを終わらせないために何ができるのか
土肥: 一番人気ののり塩を残す選択をしたわけですよね。のり塩の生産量を落として、2品体制でやっていくことはできなかったのでしょうか。
野田: いえ、その選択肢はなかったですね。看板商品であるのり塩だけは販売しようと決めました。ちなみに、最も売れていたのはのり塩、だし塩と和牛の売り上げはほぼ同じ。2品ともよく売れていたのですが、どちらを出荷停止にするかといった話になったとき、よりベーシックな味のだし塩を残すことにしました。
土肥: 当時、社内はどのような状況だったのでしょうか。
野田: 個人的に、パニックに陥っていました。ものすごい勢いで売れているのはうれしかったのですが、同じ勢いでお客さまが離れていくかもしれない。そんな不安を感じていました。ブームで終わらせないためには、どうすればいいのか。そのためにはどのような手を打つことができるのか、といったことばかり考えていました。
土肥: 4月3日にだし塩、5月29日に和牛がそれぞれ復帰しました。4月3日にだし塩を復帰したのはいいとして、和牛は遅すぎませんか。だし塩が復帰してから、2カ月ほど時間がかかっていますよ。
野田: 「少しでも早く戻したい」と考えていましたが、供給量の問題がありまして。無理をして、4月中旬に和牛を戻しました。でも、またなくなりました、やっぱりダメでした、販売休止になりました。となると、会社の信用を失うかもしれません。そうした事態は避けなければいけないので、早く戻したいという気持ちはあったのですが、慎重にならざるを得ませんでした。
あと、だし塩を復帰させたときに、のり塩の売り上げもアップしました。スーパーやコンビニなどから「店頭で一緒に並べたい」という声をいただいていまして、もしこのタイミングで和牛も戻していたら、また販売休止に陥っていたかもしれません。というわけで、少し期間をおいて和牛を復帰させました。
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