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生活が苦しい世帯や子ども食堂に届けるため、家庭で余った食品を持ち寄る「フードドライブ」という取り組みが、「食品ロス」の削減にもつながるとして注目されている。まだ食べられるのに捨てられる食品を有効活用するため、気軽に参加できる仕組みも広がりつつある。
今月上旬、東京都文京区で開かれた区の地域イベント「ステージ・エコ」。さいたま市の会社員男性(50)が、お歳暮でもらったカニの缶詰7缶を袋から取り出した。「食べないのでいつか食品ロスになるし、困っている人に食べてもらいたい」。約3時間で集まったのは乾麺や砂糖など12キロ分。NPO団体を通じて、ひとり親家庭などに届けられるという。
同区はこうした催しで、余った食料品を集めてきたが、昨年度から区役所で常時受け付けを始めた。今春、高齢者などを対象に、区民が自宅から無料で郵送できるサービスも始めた。送料は区が負担する。
東京都杉並区立中瀬中学校の生徒は来月、地域交流イベントで、近所の住民から食品を集める。昨年10月、同様の催しで約50キロを集めた。担当した杉江晃さん(3年)は「集まるか不安だったが、活動を知って家に戻って持ってきてくれる人もいた。食品ロスへの生徒の関心も広がった」と意義を語る。
農林水産省によると、国内の食品ロスは、推計年643万トン(2016年度)。国連世界食糧計画(WFP)による世界全体の食料援助量の2倍近くにあたる。国民1人あたり、茶わん1杯分のご飯を毎日捨てている計算で、約半分が家庭からだ。
こうした余っている食品を持ち寄るのが「フードドライブ」。フード(食べ物)とドライブ(活動)を足した言葉で、1960年代に米国で始まった。不要な食品を大量に集め、必要とする家庭などに提供する「フードバンク」の仕組みのうち、企業主体でなく、一般の人々が持ち寄る草の根的な活動のことを指す。
食品をいつでも受け付ける自治体や団体は増えている。東京都世田谷区は17年度から区施設で常時、受け付けている。年1トン近く集まるという。「身近な窓口なので持ち込みやすいようだ」と担当者。
生協のパルシステム千葉は年数回、商品を家庭に配達する際に余った食品を回収している。16年に千葉市で試したところ、「重い米などを受け取ってくれて助かる」と高齢者から好評で、翌年から、県内の配達対象地域全体に広げ、年3トン以上集めている。今年8月には神奈川県でも始まった。
スーパーや市民センターに、余った食品の回収ボックスを設置する動きも全国的に広がっている。
全国フードバンク推進協議会によると、フードバンク団体は全国に現在100団体。05年の2団体から増えているが、集まった食品は年4千トン前後とここ数年横ばいが続く。必要とされる同5万トンには遠く及ばない。米山広明事務局長は「子ども食堂など食品提供のニーズは増えているが、寄付が伸び悩んでいる」と話す。
3千人を対象とした消費者庁の調査(18年度)では、食品ロスの認知度は7割を超えたが、フードバンクの認知度は4割に満たなかった。認知度が低く、新たな参加者が少ないことが、頭打ちにつながっているとみられる。
子ども食堂などに集めた食品を提供しているNPO法人「フードバンク狛江」(東京都狛江市)の理事長、田中妙幸(たえこ)さんは、必要な世帯などに食品が十分行き届いていないと感じる。「家庭に手つかずで眠る食品はまだある。食品ロスを減らすためにも気軽な気持ちでお裾分けしてほしい」(石倉徹也)
余った食品を寄付するには
■必要とされる主な食料品
米、缶詰、レトルト・インスタント食品、調味料、乾麺、菓子など
■注意点
未開封、賞味期限まで1カ月以上ある、冷蔵・冷凍が必要ではない
■寄付の方法
フードドライブのイベントなどに持ち寄るか、フードバンク団体へ届ける。全国の主な団体の一覧は、農林水産省のサイト(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank.html)にある。発送する場合は、団体に問い合わせてから発払いで送る
(全国フードバンク推進協議会による)
朝日新聞社
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